日本政府がいじめ対策を強化

日本政府がいじめ対策を強化し、安全で安心な学校環境を実現するための新たな取り組みと施策を紹介します。

日本政府は、全国で学校が把握するいじめが過去最多水準にあるとして、関係省庁が連携する枠組みのもとで対策強化する方針を打ち出した。中心となるのは、子どもの権利擁護を担うこども家庭庁が、文部科学省などと協力しながら、自治体の体制整備を後押しし、重大事態の調査で第三者性を確保する取り組みを進める点だ。令和6年度(2024年度)の認知件数は約77万件、重大事態は約1400件とされ、被害を受ける子供への早急な支援と、再発を防ぐ仕組みの整備が急がれている。

日本政府がいじめ対策を強化 こども家庭庁が司令塔で省庁連携

新たな動きの軸に据えられているのが、「いじめを政府全体の問題として捉え直す」という整理だ。これまで主に教育行政を所管する文部科学省と、学校設置者である自治体の教育委員会が中心になってきたが、学校の外側からも介入できる回路を作り、長期化や重大化を防ぐ狙いがある。

こども家庭庁は、自治体における取り組みや体制づくりを促進するとともに、関係省庁が集まるいじめ防止対策に関する関係省庁連絡会議を通じて、施策を一体的に進める。現場の判断に委ねられがちな初期対応を、行政の縦割りを越えて支える設計に改めることで、安全確保の実効性を高める構えだ。

背景には、認知件数が増えている一方で、重大事態に至るまで深刻化を止められない事案が残る現実がある。国が「見逃さない」姿勢を強めた結果、把握数が積み上がった側面はあるものの、早期対応の穴をどう塞ぐかが次の焦点になっている。

日本政府はいじめ対策を強化し、子どもたちの安全と健全な成長を守るための新たな施策を推進しています。

学校のいじめ認知は約77万件 重大事態は約1400件で過去最多水準

こども家庭庁が示す概要では、令和6年度の全国の小・中・高校と特別支援学校におけるいじめの認知件数は約77万件に上った。なかでも、重大事態の発生件数が約1400件とされ、被害が深刻化したケースへの対応が急務になっている。

重大事態は、いじめ防止対策推進法の枠組みで、生命・心身・財産への重大な被害や、相当期間の欠席を余儀なくされた疑いがある場合に認定される。大津市で2011年に起きた中学生の自殺事案を契機に、2013年に成立した同法は、悪質性や継続期間に限らず幅広く把握し、早期発見・早期対応につなげることを狙ってきた。

実際、文部科学省の調査では、法施行初年度の2013年度は18万5803件だった認知件数が、2021年度には61万5351件まで増加した。国は増加を「教職員の目が行き届いていることの表れ」と説明してきたが、重大事態が高止まりする現状は、把握から解消までの距離がなお長いことを示す。

「クラスの中でのからかいが、放課後のSNSにも持ち込まれ、翌週には登校しづらくなる」。教育現場では、こうした連鎖が珍しくないとされる。学校の視界外で進む事案ほど、初動が遅れやすいという指摘が根強く、次の章で触れる「学校外のアプローチ」が注目される理由にもなっている。

第三者性の確保と相談支援の拡充 学校外からの介入も視野

対策の柱は大きく3つある。第一に、学校の取り組みを補完する形で、首長部局を含む自治体が「学校外からのアプローチ」によって、解消まで伴走できる仕組みをモデル化する方針だ。担任や学年だけに負荷が集中すると、事案の見立てが固定化しやすい。行政側が関与する回路を用意することで、判断の幅を確保する狙いがある。

第二に、重大事態の調査における第三者性を担保する取り組みで、こども家庭庁は「いじめ調査アドバイザー」などを通じて、適切な対処を後押しするとしている。調査の独立性が疑われれば、被害を受けた子供や保護者の納得は得にくい。検証の信頼性を高めることが、再発防止の出発点になる。

第三に、政府横断で進める体制づくりだ。関係省庁連絡会議を軸に、こども家庭庁、文部科学省、法務省などがそれぞれの制度や啓発を接続し、「社会全体でのいじめ防止」を進めるとしている。現場の課題が複合的になるほど、単一の省庁だけでは手が届きにくいという認識がにじむ。

あわせて、当事者が早期に声を上げる環境づくりも重要になる。文部科学省は、電話やSNSなどで相談できる窓口を案内しており、困りごとを抱えた子どもが外部につながる導線を示している。支援につながるまでの「空白」を短くできるかが、今後の実効性を左右する。